相続税対策!生前贈与の活用を検討しましょう
- 2018/02/15
- お役立ち情報
生前贈与を行えば、相続税の負担を減らすことができます
相続税の増減に備えて、生前贈与を行う人が増えています。
相続税と贈与税の違いをうまく利用すれば、税金の負担を軽くすることができるのです。
◆必ず贈与の証拠を残しておきましょう◆
相続がいつ起きるかは誰にもわからず、故人が残した財産のすべてに一度に相続税がかかります。
非課税枠である基礎控除額も、財産全体に対する金額から差し引くことになります。
しかし生前贈与なら、自分の意思と都合に合わせ、いつ、誰に、いくら渡すのかを決めることができます。
贈与税の非課税枠はもらう人ごとに毎年110万円なので、子や孫など、多くの人に何年かに分けて財産を渡すことも可能です。
ただし、確かに贈与があったという証拠・資料を残しておかないと、税務署は認めてくれません。
贈与した人・もらった人両方の署名捺印がある贈与契約書を作成し、財産はもらった人にきちんと渡し、もらった人が管理するようにしましょう。
◆贈与税の計算方法は2とおり◆
①暦年課税制度
暦年課税制度は、もらう人ごとに毎年110万円の非課税枠があります。
110万円を超えなければ、税金に関する手続は不要であり、超えたときにだけ、翌年3月15日までに申告書を税務署に提出し、贈与税を納めます。
なお、平成27年からは20歳以上の子や孫への贈与は税率が緩和されました。
②相続時精算課税制度
相続時精算課税制度は、若い世代により財産を移しやすくしようという目的で、平成15年に新しくつくられた制度です。
同じ「贈与する人・もらう人」の間なら、一生涯2,500万円の特別控除額が複数の年にわたり使えます。
2,500万円に達するまで、贈与税はかかりませんが、それを超えたら一律20%の税率で贈与税がかかります。
将来、価値の上がる財産や収益を生む財産を贈与すれば、税金を減らす効果がありますが、いったんこの制度を選択すると、その「贈与する人・もらう人」の間では一生この制度を使わなければならないため、①の暦年課税制度の毎年110万円の非課税枠は使えなくなります。
平成26年までは原則として65歳以上の親から20歳以上の子どもへの贈与にしか使えませんでしたが、平成27年からは祖父母と孫の間でも使えるようになり、贈与する側の年齢も60歳以上に引き下げられました。
両方の制度の違いを正しく理解し、どちらを使うか判断しましょう。
◆贈与税の申告書の提出方法◆
- 提出書類 ・・・贈与税の申告書。相続時精算課税制度を使う場合には、初年度に「相続時精算課税選択届出書」の提出も必要です。
- 提出先 ・・・受贈者(もらった人)の所轄税務署
- 提出期限 ・・・贈与を受けた年の翌年2月1日から3月15日まで
- 提出義務者・・・贈与により財産をもらった人
申告書は税務署の窓口で入手するか、国税庁のホームページからダウンロードします。
贈与税の税率(暦年課税制度)の速算表
平成27年以降の贈与税の税率は、「一般贈与財産」と「特例贈与財産」に区分されました。
【一般贈与財産用】(一般税率)
この速算表は、「特例贈与財産用」に該当しない場合の贈与税の計算に使用します。
例えば、兄弟間の贈与、夫婦間の贈与、親から子への贈与で子が未成年者の場合などに使用します。
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 300万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 3,000万円超 |
税率 | 10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | – | 10万円 | 25万円 | 65万円 | 125万円 | 175万円 | 250万円 | 400万円 |
【特例贈与財産用】(特例税率)
直系尊属(祖父母や父母など)から、その年の1月1日において20歳以上の者(子・孫など)への贈与税の計算に使用します。
例えば、祖父から孫への贈与、父から子への贈与などに使用します。(夫の父からの贈与等には使用できません)
基礎控除後の課税価格 | 200万円以下 | 400万円以下 | 600万円以下 | 1,000万円以下 | 1,500万円以下 | 3,000万円以下 | 4,500万円以下 | 4,500万円超 |
税率 |
10% | 15% | 20% | 30% | 40% | 45% | 50% | 55% |
控除額 | – | 10万円 | 30万円 | 90万円 | 190万円 | 265万円 | 415万円 | 640万円 |
贈与税にはもらう財産の種類や使途により様々な特例があります
◆配偶者への自宅の贈与は2,000万円まで非課税になります◆
婚姻期間が20年以上である夫婦間で、自宅または自宅の購入資金の贈与を行ったときには、最高2,000万円、暦年課税制度の非課税枠110万円と合わせ2,110万円までは贈与税が非課税になります。
ただし、贈与税はかからなくても、不動産の名義変更をするときの登録免許税や不動産取得税という別の種類の税金はかかりますので、注意しましょう。
◆子などへの住宅購入資金は一定額まで非課税になります(平成31年まで)◆
両親や祖父母などから20歳以上の子や孫などへ、自宅の購入資金の贈与を行うと、例えば契約年が平成27年の場合は省エネ住宅なら1,500万円まで、それ以外の住宅なら1,000万円まで、贈与税が非課税になります。
暦年課税の非課税枠110万円か相続時精算課税の特別控除額2,500万円のいずれかを選択して、併せて使うことが可能です。
以上2つの特例は、贈与税の申告書を3月15日までに税務署に提出しなければ適用を受けられません。
◆孫などの教育費は、1,500万円まで非課税に(平成31年まで)◆
30歳未満の孫などへの教育資金として、祖父母などが金融機関にお金を預けたときは、1,500万円(学校以外へ支払う場合は500万円)まで贈与税が非課税になります。
非課税申告書を、金融機関を通じて税務署に提出します。
30歳になった日に使い残しがあれば、その時点で残額に贈与税がかかりますので、使い切る金額だけを贈与した方がよいでしょう。