上場株式と非上場株式の評価額を確認しましょう
- 2018/02/08
- お役立ち情報
上場株式と非上場株式の評価額、算出方法を確認してみましょう
◆株価が大きく変動する可能性のある上場株式◆
上場株式とは、東京証券取引所をはじめとした金融商品取引所に上場されている株式のことをいい、取引所が公表している課税時期(死亡日)の最終価格によって評価します。
課税時期が取引所の休日で、取引自体がないときには、課税時期に一番近い日の最低価格を使うことになっています。
ただし、上場株式の株価は大きく変動する可能性が高い点を考慮して、「亡くなった月」「その前月」「その前々月」の「毎日の最終価格の平均額」を「課税時期の最終価格」と比較して、もっとも低い価格を使ってもかまわないことになっています。
◆取引相場のない非上場株式◆
非上場株式(取引相場のない株式)は会社に対する支配力の強さに応じた方法で評価します。
原則・特例のどちらになるかは、「同族株主」かどうかによります。
取引相場のない株式は、「誰が相続するか」によって評価額が変わります。
一般的には、株式を相続した人が会社に対する支配力が強いオーナー一族などの「同族株主」なら、会社の利益や資産などをもとにした原則的評価方式で評価します。
一方、支配力が弱いその他の株主なら、配当だけをもとにした特例的評価方式(配当還元方式)で評価します。
自分が同族株主かどうかは、自分と親族の議決権割合の合計が、全体の3割以上になるかで判断します。
ただし5割超の人がいるときには、5割を超えた人だけが同族株主になります。
原価的評価方式・・・類似・純資産のどちらかは、会社の規模によります。
原則的評価方式には「類似業種比準方式」「純資産価額方式」「両方の併用方式」の3つの方式があります。
どれを使うかは、従業員数、総資産価額、年間取引金額により、会社の規模を大中小に分けて判断します。
◆非上場株式の評価方法◆
【原則的評価方式】
会社の規模 | 評価方法 | |
大会社 | 類似業種比準価額 | |
※純資産価額の方が低ければ、純資産価額 | ||
中会社 | 大 | 類似業種比準価額×0.90+純資産価額×0.10 |
中 | 類似業種比準価額×0.75+純資産価額×0.25 | |
小 | 類似業種比準価額×0.60+純資産価額×0.40 | |
小会社 | ①純資産価額 | |
②類似業種比準価額×0.50+純資産価額×0.50 | ||
※①と②のいずれか低い方 |
【特例的評価方式】
◎配当還元方式・・・年配当金額/10%×1株あたりの資本金の額/50円
少数株式が取得した株式は、会社の規模にかかわらず、直近2年間の配当金額をもとにした配当還元方式で評価します。
◎類似業種比準方式
業種の類似した上場会社と、株価、1株あたりの配当金額、利益金額、純資産価額などを比較し、株式の評価額を算出する。
◎純資産価額方式
相続税評価額で評価した資産の額から、負債の額、法人税相当額を控除した金額を、発行済株式数で除して、株式の評価額を算出する。
◆特定会社の評価の特例◆
株式保有特定会社や土地保有特定会社、開業後3年未満の会社などは、同族株主なら純資産価額方式、その他なら配当完全方式で評価します。
株式保有特定会社とは
- 課税時期において、株式等の価額が総資産価額に占める割合が50%以上の会社が該当します。
土地保有特定会社とは
- 課税時期において、総資産価額に占める土地の割合(土地保有割合)が一定の割合以上の会社が該当します。
- 会社の規模は財産評価基本通達によって、従業員数や業種、総資産価額などで大会社、中会社、小会社に区分されています。
開業後3年未満の会社等とは
- 開業後3年未満である会社とは、課税時期において、開業後の経過年数が3年未満である会社に該当する評価会社をいいます。ただし、開業前または休業中の会社、及び清算中の会社に該当する場合は除かれます。
- 配当、利益、純資産の3大要素すべてがゼロの会社とは、類似業種比準方式を計算する場合の「1株当たりの配当金額」「1株当たりの利益金額」「1株当たりの純資産価格」のそれぞれの金額がいずれもゼロである会社をいいます。この場合、配当金額及び利益金額については、直前期末以前2年間の実績を反映して判定をします。