小規模宅地等の特例を確認しましょう
- 2018/01/26
- お役立ち情報
小規模宅地等の特例の対象であれば、課税価格が8割引きまたは5割引きになります
土地の評価額を求めたら、次に、その土地が小規模宅地等の特例の対象になるかを確認します。
この特例を使えれば、一定の面積まで土地の課税価格が8割引きまたは5割引になります。
ただし、適用を受けるには要件がいろいろあります。
代表的なものをチェックしてみましょう。
◆「対象になる土地」は以下の3タイプ◆
基本的には亡くなる直前まで、故人の居住用または事業用だった土地が対象です。
大きく分けて、次の3タイプに分かれます。
- 自宅用・・・故人の自宅の敷地のうち、330㎡までの部分が8割引き。老人ホームに入っても、相続時に要介護や要介護支援認定を受けていれば、入所前に住んでいた自宅の敷地も対象になります。
- 店舗や事業用・・・故人が店舗や事業のために使っていた土地のうち、400㎡までの部分が8割引き。ただし、有償で貸していた土値は除く。
- 賃貸用・・・賃貸マンションの敷地や貸駐車場だった土地など、故人が有償で貸していた土地のうち、200㎡までの部分が5割引き。
自宅用と店舗や事業用は別枠で併用できるので、最大730㎡までが8割引きになります。
ただし、賃貸用は別枠で併用できないので、面積の調整計算を行います。
◆「対象者」は決まった人だけ◆
この3タイプの土地でも、次の要件に当てはまる人が相続しないと、特例の適用を受けられないので、注意が必要です。
①自宅用
- 故人の配偶者
- 故人と同居していた親族(持ち続け、住み続けること)
- 上記の人がいない場合のみ、故人と別居していた親族(持ち続けること)。ただし、相続開始前3年以内に自分または配偶者の持ち家に住んでいなかった場合に限る。
②店舗や事業用及び賃貸用
- 故人の親族(持ち続け、事業を続けること)
「持ち続け」「住み続け」「事業を続け」なければならないのは、相続税の申告期限である「亡くなってから10か月後」までです。
その後は、売っても引っ越しても、廃業してもよいことになっています。
また、自宅が二世帯住宅で、故人とは別の独立部分に住んでいても、原則として、同居していたと考えます。
「親族」とは配偶者・六親等内の血族・三親等内の姻族のことです。
相続人以外の親族でも、この特例の適用は受けられます。
小規模宅地等の特例を使うには、忘れてはならないポイントがあります。
上記でご説明した対象になる土地と対象者の要件を満たしていても、特例を使うには忘れてはいけないことがあります。
◆「相続税の申告書」を提出すること◆
評価額が5,000万円の自宅の敷地を、同居していた長男が相続すれば、自動的に、8割引きの1,000万円で相続税を計算できるわけではありません。
この特例の適用を受けることを記載した明細書と相続税の申告書を、所轄の税務署に提出する必要があります。
◆申告期限までに「遺産分割協議」をまとめること◆
要件を満たす人が相続したときにしか、この特例は使うことができません。
つまり、相続税の申告期限までに、誰がその土地を相続するのはを決めなければならないのです。
仮に、故人の財産全てについての遺産分割協議がまとまらなくても、特例の対象になる土地だけでも誰が相続するのかが決まれば、特例は使うことができます。
これを一部分割といいます。
しかし、それも難しい場合には、減額を行わない形の相続税の申告書と申告期限後3年以内の分割見込書というものを、申告期限までに所轄の税務署に提出し、相続税を多めに納めます。
その上で、3年以内に遺産分割協議がまとまれば、特例の適用を受け、納めすぎた税金を返してもらうことができます。
◆小規模宅地等の特例の計算例◆
【前提条件】
故人の自宅の土地建物は同居していた長男が相続し、相続税の申告期限まで持ち続け、住み続けた。
◎土地
① 相続税評価額・・・5,000万円
② 小規模宅地等の特例による減額の金額・・・5,000万円×330㎡/440㎡×0.8=3,000万円
③ ①-②=2,000万円
◎建物
2,000万円
◎合計
土地2,000万円+建物2,000万円=4,000万円
「故人以外の人」の自宅の土地が特例の対象になることもあります。
実は、故人ではなく、故人と生計を一にしていた親族の居住用または事業用の土地も、この特例の対象になっています。
「生計を一にしていた親族」とは、故人とお財布まで一緒にしていたくらい、関係の近い親族のことです。
その土地は亡くなった親の居住用ではなく、子の居住用の土地ですが、子は8割引で相続できるのです。
他にも小規模宅地等の特例にて、細かい要件が多いので、必ず税理士に確認しましょう。