葬祭費や埋葬料は葬儀後に利用できる公的医療保険の給付制度
- 2017/05/04
- お役立ち情報
2020年12月23日更新
目次
公的保険から給付される葬祭費・埋葬料のこと
亡くなった方が国民健康保険・後期高齢者医療制度や勤務先の健康保険などの公的保険に加入していた被保険者であった場合、所得の多い少ないに関係なく葬祭費(そうさいひ)や埋葬料(まいそうりょう)という給付金の請求を申請することができます。
葬儀の際に支給される給付金を受け取りたいという場合は、まず故人が生前に加入していた保険の種類を特定しましょう。
故人が20歳以上の方であれば、いずれかの公的保険に加入しているはずですので、葬祭費・埋葬料の受給権利が得られます。
誰が葬祭費・埋葬料をもらえるのか
「葬祭費」は葬儀を執り行った方(葬儀に要する費用を負担した方)に対して支払われる援助金ですので、喪主を務めた方や故人の家族などが申請の手続きを行うのが適切です。
「埋葬料」は、基本的に亡くなられた方(被保険者)に生計を維持されていた家族で埋葬を執り行った方が支給対象となりますが、故人に「生計を維持する関係」にあった家族(埋葬料の対象となる方)がいないという場合は、埋葬を行った方に対して「埋葬費(まいそうひ)」という名称の支援金が給付されることになります。
葬儀や埋葬を終えたあとに受け取ることができる給付金は、故人が加入していた保険の種類によって対象となる費用の範囲や具体的な支給額も異なります。
こちらでくわしく解説していきますので、適用される給付制度について確認していきましょう。
葬祭費と埋葬料の違い
亡くなった方が加入していた健康保険の種類によって、給付制度の名称が異なります。
葬祭費が支給されるのは? |
亡くなった方が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合 |
埋葬料、または埋葬費が支給されるのは? |
亡くなった方が国民健康保険以外の健康保険の被保険者だった場合、あるいは全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入していた場合 |
葬祭費の給付申請について
亡くなられた方が国民健康保険や後期高齢者医療制度に加入していた場合、葬儀を行った喪主などに対して給付されるのが「葬祭費」です。
支給額については、故人の住んでいた市区町村や加入していた保険によっても異なりますが、国民健康保険に加入していた場合は5~7万円、後期高齢者医療制度に加入していた場合であれば3~7万円ほど支給されるのが一般的です。
市区町村によっては正式な名称が異なる場合や別の給付が受けられる場合などもありますので、念のため、自分がどのような給付の制度を受けられるか確認すると良いでしょう。
また、葬儀の日から2年経過すると葬祭費の申請ができなくなりますので、葬儀後はできるだけすみやかに請求申請の手続きを済ませることをおすすめいたします。
葬祭費の申請方法
提出先:故人(被保険者)が住んでいた市区町村役場の窓口
提出者:葬儀を行った方
必要書類:葬儀費用の領収書、印鑑、保険証、死亡診断書、口座振替依頼書、受取人名義の預金通帳
手数料:無料
申請期限:葬儀を執り行った日の翌日から2年で時効
埋葬料の給付申請について
亡くなられた方が会社員などで協会けんぽや健康保険組合といった社会保険に加入していた場合、故人に生計を維持されていた方に対して埋葬料が定額5万円支給されます。
埋葬料を受け取る対象者(被扶養者)がいない場合は、実際に埋葬を行った方(埋葬に要する費用を負担した方)に対して埋葬費が支給されることになります。
埋葬費は埋葬料の支給額である定額5万円の範囲内で、埋葬にかかった費用(霊柩車代、火葬料、葬壇一式料、僧侶への謝礼など)に含まれる実費額が支給されることになります。
退職した後に亡くなった場合でも、被保険者資格を喪失してから3か月以内であれば埋葬料・埋葬費の請求申請をすることが可能です。
家族埋葬料の給付について
被扶養者(被保険者が養っていた家族)が亡くなった場合には、「家族埋葬料(かぞくまいそうりょう)」という名称で一律5万円が被保険者に対して支給されます。
家族埋葬料の申請期限は埋葬料と同様に被保険者が亡くなられた日の翌日から2年で時効となりますが、被保険者の資格喪失した場合にはこちらも同じく3か月以内であれば申請可能です。
埋葬料の申請方法
提出先:故人の勤務先の管轄協会けんぽ、もしくは健康保険組合
提出者:故人に生計を維持されていて埋葬を行った方(該当者がいない場合は埋葬を行った方)
必要書類:葬儀費用(葬儀社)の領収書、印鑑、保険証、死亡を証明する事務所の書類、委任状(代理人の場合)など。
申請期限:埋葬料は死亡した日の翌日から2年で時効、埋葬費は埋葬を行った日の翌日から2年で時効
埋葬料については、会社が請求の手続きを行うケースがあるため、重複しないようにあらかじめ確認しておくと安心です。
葬祭費・埋葬料の給付制度で注意するポイント
葬祭費や埋葬料は、被保険者の死亡にともない自動で支給されるわけではありません。
申請しないと受け取れない支援金ですので、忘れずに「2年」で区切られた期限内に請求申請をしておかなければならないという点は注意が必要です。
また、葬祭費は実際に執り行われた葬儀に対して支払われるものであり、死亡した事実に対して支払われるものではありませんので、何らかの事情によって葬儀を行っていないという場合には、葬祭費の給付を受けることができないということも注意しておきたいポイントです。
なお、被保険者であった方が業務上の事故や通勤災害などで亡くなられた場合は、労災保険からの支給になります。
労災が適用される基準や補償金額の請求手続き方法については、故人の勤務先に確認しながら進めていくとスムーズでしょう。
最後に
葬祭費や埋葬料として受けることができる公的医療保険の給付制度は、遺族にとって葬儀や遺品整理などで生じる金銭負担のサポートとなる存在です。
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しかし、いかなる理由であっても請求申請には期限があり、時効が過ぎたあとは葬祭費や埋葬料の給付を受けるための手続きを行うことができなくなりますので、慌ただしい時期ではあっても決して忘れないようにしたいものです。
保険制度や医療サービスの発展が目まぐるしい近年では、何十年と生きる方々にとって自分がどの保険に加入していてどういった保障を受けられるのかわからなくなってしまうこともあるかもしれません。
自分が加入している保険の種類をあらためて確認するために、そして、自分に万が一のことがあった場合に備えて、加入している保険のことも遺言やエンディングノートに書き残しておくなど積極的な生前整理や終活をしておくことも大切です。
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