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健康保険の資格喪失届と保険証の返却は被保険者が亡くなったときに必要な手続き

2020年11月5日更新

目次

 

すべての国民が加入している健康保険

 

健康保険とは、労災以外の病気やケガによる入院や休業、死亡や出産など不測の事態に備えるため、1926年7月から施行された公的医療保険制度です。

病気やケガをした時に必要となる経済的な負担を軽減し、安心して治療が受けられる暮らしを保障するために、日本では国民全員が必ず何らかの公的な医療保険に加入することを義務づける「国民皆保険制度」が維持されており、国民一人一人が保険料を出し合うことでお互いの医療費を支え合っています。

健康保険に加入している方のことは「被保険者(ひほけんしゃ)」といい、この被保険者に扶養されている家族(被扶養者)も同様に必要な保険給付を受けることができる仕組みになっています。

では、被保険者が亡くなったとしたら、その方や家族が加入している健康保険はどうなるのでしょうか・・・?

 

すべての国民が加入している健康保険

健康保険は病気や怪我による医療費負担を減らす医療保険制度

 

被保険者が亡くなったら健康保険はどうなるの?

 

健康保険に加入している方が亡くなられた場合、死亡日の翌日から被保険者としての資格を失うこととなり、資格喪失日から保険証(被保険者証)は使うことができなくなります。

すべての国民は何らかの公的医療保険に加入することが義務づけられていますので、被保険者が亡くなった場合には死亡者の住民票がある市区町村役場へ保険証の返却と資格喪失届の提出を行います。

自治体によっては、死亡届が提出されたことで自動的に健康保険の資格喪失手続きが行われることがありますので、資格喪失届の提出が必要かどうかわからない場合は市区町村役場に確認するようにしましょう。

また、健康保険は世帯単位での加入となっていますので、死亡した被保険者が世帯主であった場合は、同一世帯内の被扶養者も同じく死亡日の翌日から被保険者としての資格を失うことになるので注意しましょう。

資格喪失した被扶養者は、死亡した被保険者本人の保険証と一緒に加入者全員の保険証も返却する必要があります。

世帯変更届と同時に、保険証の世帯主欄と被保険者証番号を変更した保険証の発行手続きを進めましょう。

 

被保険者が亡くなったら健康保険はどうなる?

「資格喪失届の提出」と「保険証の返却」をしましょう

 

資格喪失届と保険証の返却に必要な書類

 

亡くなられた被保険者が加入していた健康保険によって、届け出る資格喪失届や返却する保険証の種類、手続きの必要書類は異なります。

 

国民健康保険の被保険者が亡くなられた場合

亡くなった方が自営業者や年金生活者、非正規雇用者などで国民健康保険に加入していた場合は、国民健康保険資格喪失届の提出と同時に各保険証を返却をします。

 

国民健康保険資格喪失届の提出期限

死亡後14日以内

 

国民健康保険資格喪失届の提出場所 

死亡した被保険者の住民票があった市区町村役場の窓口

 

必要書類

  • 国民健康保険被保険者資格喪失届
  • 死亡を証明する書類(死亡届のコピー、戸籍謄本など)
  • 届出人の本人確認書類(運転免許証など)
  • 印鑑(認印可)

 

返却書類

  • 国民健康保険被保険者証(死亡した方が世帯主の場合は、一世帯内の被保険者全員分が必要)
  • 国民健康保険高齢受給者証(70~74歳の方のみ)

 

後期高齢者医療制度の被保険者が亡くなられた場合

後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上の方、あるいは、障害認定を受けている65歳以上74歳以下の方が亡くなった場合は、後期高齢者医療資格喪失届の提出と同時に保険証を返却をします。

 

後期高齢者医療資格喪失届の提出期限

死亡後14日以内

 

後期高齢者医療資格喪失届の提出場所

死亡した被保険者の住民票があった市区町村役場の窓口

 

必要書類

  • 後期高齢者医療資格喪失届
  • 後期高齢者医療被保険者証
  • 後期高齢者医療限度額適用認定証(お持ちの場合のみ)
  • 限度額適用・標準負担額減額認定証(お持ちの場合のみ)
  • 特定疾病療養受療証(お持ちの場合のみ)
  • 相続人の本人確認書類(運転免許証など)
  • 印鑑(認印可)
  • 預金通帳など振込先口座がわかるもの(納付済みの保険料額が年間保険料額を上回っていた場合の還付先として必要)

 

「資格喪失届の提出」および「保険証の返却」は、郵送による届出に対応している自治体もあります。

やむを得ない事情で期日内に窓口まで出向くのが難しいという場合には、郵送手続きが可能かどうか問い合わせてみましょう。

また、2016年1月1日から運用が開始されたマイナンバー制度により、マイナンバー(個人番号)の記入と提示が記必要になるケースもあります。

届け出に必要な書類などは各自治体への問い合わせ、または、ウェブサイトにてあらかじめ確認しておきましょう。

現在は、各自治体ほとんどのウェブサイトから「資格喪失届」をダウンロードすることができるようになっていますので、事前に必要事項を記入した書類を用意しておくことも可能です。

 

健康保険の資格喪失届と保険証の返却に必要な書類

届出は被保険者が亡くなってから14日以内に済ませましょう

 

被扶養者として健康保険に加入していた方が行う手続き

 

亡くなられた方の被扶養者として健康保険に加入していた方は全員、被保険者本人が死亡した日の翌日に健康保険の資格を喪失することになります。

被扶養者の保険証は、亡くなった方の保険証返却と資格喪失届の提出をする際、まとめて一緒に返却します。

保険証を返却したあとは、扶養者が亡くなった翌日から14日以内に自分で保険料を月々支払う国民健康保険に新規加入(切り替え)するか、もしくは、会社員であるほかの家族の扶養に入り直す手続きをしましょう。

国民健康保険は自動的に加入するということはありません。

必要な変更手続きを行わず、被保険者としての資格を失ったまま病院にかかってしまうと大変です。

資格喪失後は、被保険者と同様に保険証も使用できなくなるので注意しましょう。

 

被扶養者として健康保険の扶養に入っていた方が行う手続き

被扶養者も被保険者としての資格を失います

 

会社員は社会保険の資格喪失手続きをします

 

亡くなった方が会社員であった場合は、会社を経由して加入していた社会保険から健康保険と厚生年金保険の資格を喪失することになります。

この場合の資格喪失手続きは、健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届を年金事務所に提出することになります。

基本的には、事業主側でさまざまな退職手続きと一緒に行ってくれますが、届出漏れがあってはいけませんので残された従業員の家族は資格喪失届について会社の担当者に確認するようにしましょう。

会社が資格喪失手続きを代行してくれる場合は、保険証の返却も会社を経由して行います。

やむを得ない理由により直接返却するのであれば、会社の住所がある各都道府県の「協会けんぽ」へ、会社が健保組合に加入していた場合であればその「健保組合」に返却します。

 

社会保険には「協会けんぽ」と「健保組合」の2種類がある

協会けんぽ
主に中小企業等の事業主か加入している全国健康保険協会が運営する健康保険のこと
健保組合
常時700人以上の従業員が働いている企業が自社で設立した健康保険のこと

 

会社員の死亡に伴う退職の手続き

会社員の方が在職中に亡くなられた場合には、健康保険の資格喪失届や保険証の返却以外にもさまざまな退職に伴う手続きを行う必要があります。

なお、被保険者の資格喪失年月は死亡日の「翌日」となりますが、退職日は一般的に「亡くなられた日」となりますので混同しないようにしましょう。

退職に関する手続きの主な内容をこちらで確認しておきましょう。

 

退職手続きで行うこと

  • 死亡退職届の提出
  • 健康保険被保険者証の返却
  • 社員証(会社における身分証明書)の返却
  • 社員証以外に会社から貸与を受けていた物の返却
  • 未払い給与、退職金、社内預金、自社持ち株などの精算
  • その他、会社が求める必要書類の提出

 

会社員の死亡に伴う社会保険の資格喪失手続き

会社員の死亡時は健康保険・厚生年金保険の資格を喪失します

 

最後に

 

ご家族が亡くなられた場合には、亡くなった方が加入していた健康保険の種類に適した方法で「資格喪失届の提出」と「健康保険証の返却」をすみやかに行いましょう。

大切な方を失ったばかりで深い悲しみに暮れる中でも、遺された方々はやらなければいけないことが怒涛のように押し寄せてきます。

何度も役所へ出向いたり、必要書類を揃えたり、生活に必要な電気、ガス、水道、固定・携帯電話など多岐にわたる契約の変更や年金などの受給手続き、相続に関する調査など悲しむ時間もないほど進めるべき煩雑な手続きは多くあります。

健康保険のことだけでなく、その他さまざまな公的制度についても、自分や家族の万が一の時に備えて「どのような届出が」「どのような方法で」「いつまでに」必要になるのか」ということを前もって知っておくとより安心ですね。

 

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