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遺族基礎年金と遺族厚生年金の受給要件や年額の違い

2020年11月24日更新

令和2年(2020年)5月29日に成立した年金制度改正法により、年金受給の在り方や受給開始時期などの見直しが行われ、遺族年金の年額にも変動がありました。

遺族年金を受け取るための要件や支給金額について、あらためてこちらで確認しましょう。

 

目次

 

国民年金と厚生年金について

 

遺族年金は、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種があり、国民年金や厚生年金の被保険者や年金を受け取っている方などの死亡で一家の働き手を失った遺族の生活保障を目的に給付される年金制度です。

まずは、遺族基礎年金や遺族厚生年金の受給資格や支給される年金額について知る前に、まずは公的年金についておさらいしておきましょう。

公的年金制度とは、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての国民に加入する義務がある国民皆年金の制度です。

自分や家族が高齢になったとき、障害を負ってしまったとき、一家の大黒柱が亡くなったときなど、さまざまな要因によって自立した生活が難しくなった場合に、国から給付が受けられるという制度となっています。

予測できない将来のリスクに備えるためには、毎月の保険料を納付して制度を支える義務をきちんと果たす必要がありますが、経済的に納めることが困難だからと免除や猶予制度を利用せず未納のままにしていると、必要なときに年金を受給できなくなる恐れがありますので、まだ先のことと考えずきちんと保険料を納めるようにしましょう。

現在、公的年金は「国民年金」と「厚生年金」の2種類があり、加入者は「被保険者」と呼ばれて「第1号」「第2号」「第3号」の3種類に分類されています。

※共済年金制度(公務員、私学の教職員など)は、2015年10月から厚生年金に統一されました。

国民年金の被保険者の種別
  • 第1号被保険者(自営業者、農業従事者とその配偶者、学生、アルバイト、無職者など)
  • 第2号被保険者(会社員、公務員など)
  • 第3号被保険者(第2号被保険者に扶養されている20歳以上60歳未満の配偶者)

 

公的年金制度に加入すると日本年金機構から発行される年金手帳。

年金手帳の表紙はオレンジ色と青色がありますが、これは公的年金制度に加入した年代(交付時期)によって違うということはご存知ですか?

オレンジ色の年金手帳が発行されたのは、1974年11月から1996年12月までに加入した方に交付されたもので、青色の年金手帳は1997年1月から現在までに交付されているものとなっています。

なお、80代以上の年金受給者が所有しているためあまり見かけることがないかもしれませんが、年金制度が始まった1961年から1974年11月までに発行されていた茶色い表紙の年金手帳も存在しています。

茶色の手帳は、国民年金手帳と厚生年金手帳が統一されるまで旧厚生省から交付されていたもので「国民年金手帳」と呼ばれていました。

 

国民年金と厚生年金について

現在の公的年金は国民年金と厚生年金の2種類

 

遺族年金は2種類

 

国民年金や厚生年金に加入中の被保険者や老齢年金の受給資格期間を満たした方が亡くなられたとき、生計を維持されていた遺族は「遺族基礎年金」「遺族厚生年金」のいずれか、または両方の年金を受け取ることができます。

2015年10月に共済年金制度が厚生年金に一元化されるまでは遺族共済年金もありましたが、現在の遺族年金は遺族基礎年金と遺族厚生年金の2種類で構成されています。

遺族年金を受け取るには、亡くなられた方の年金納付・加入状況や遺族年金を受け取る方の年齢、優先順位など受給条件が設けられています。

「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」それぞれに受給要件が異なりますので、こちらで詳しく見ていきましょう。

 

遺族年金の種類は大きく分けて2つ

遺族が受け取る遺族基礎年金と遺族厚生年金の違いとは?

 

遺族基礎年金を受け取る要件と対象となる人

 

国民年金に加入中の被保険者、または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある方が亡くなったときに、一定の条件を満たす遺族が受け取れる遺族年金が「遺族基礎年金(いぞくきそねんきん)」です。

一定の条件を満たす遺族とは、亡くなった方によって生計を維持されていた遺族を示しますので、自営業者や会社員の方であっても支給の対象者となります。

遺族基礎年金の受給要件
  • 国民年金に加入中の被保険者が亡くなったとき
  • 国民年金に加入中の被保険者(60歳以上65歳未満)で、日本国内に住所がある方が亡くなったとき
  • 老齢基礎年金の受給権者であった方が亡くなったとき
  • 老齢基礎年金の受給資格期間*が25年以上ある方が亡くなったとき

原則:国民年金の保険料納付済期間(免除期間を含む)、厚生年金の被保険者期間、共済組合の組合員期間の合計が3分の2以上あること

特例:令和8年(2026年)3月31日までの間に死亡された場合、亡くなった方が65歳未満であれば、死亡月から前々月までの1年間に納付しなければならない保険料の未納・滞納がなければ遺族基礎年金を受けることができます。

※受給資格期間とは・・・保険料を納付した期間や保険料の免除をしてもらった期間のこと

 

遺族基礎年金の受給資格を持つ対象者
  • 死亡した方によって生計を維持されていた、子のいる配偶者(妻、また夫)
  • 死亡した方によって生計を維持されていた、子

 

また、遺族基礎年金の支給対象となる子には、以下3つの要件が設けられています。

遺族基礎年金の受給対象となる子の要件
  • 18歳になった年度の末日(3月31日)を経過していない子
  • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
  • 婚姻していない子

死亡した方によって生計を維持されていた「子」には、18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していないこと、または20歳未満で障害等級1級または2級の障害状態にあることが要件となっており、いずれの場合も、婚姻していないということが前提になります。

亡くなられた方の配偶者が遺族基礎年金の受給対象者となるには、これらの要件に該当する子と生計を同じくしている必要があるため、対象となる子がいない場合は夫・妻であっても遺族基礎年金は支給されません。

受給対象者や支給要件から、遺族基礎年金は遺児のための年金制度であると推測することができます。

 

遺族基礎年金を受け取ることができる人

遺族年金の受給資格を知っておきましょう

 

「生計を維持されていた」とは具体的にどういうこと?

 

遺族年金や寡婦年金など遺族が年金(加算)を受ける場合、遺族に対して「生計を維持されていた」ことが条件とされていることがあります。

「生計を維持されていた」とは、具体的には亡くなった方(一家の大黒柱)と同じ家に住んで生活を共にしていた配偶者やその子を指していますが、離れて暮らしていた場合でも、送金によって経済的援助を受けていた配偶者と子は「生計を維持されていた」ということになります。

年金や加算を受ける配偶者と子、いわゆる「生計を維持されていた遺族」には同居していたことなども含めて、原則2つの要件を満たしている必要があります。

  • 同居していること
  • 支給される遺族年金を受け取る方(加給年金額等対象者)が、前年の収入が850万円未満である、もしくは所得が655万5千円未満であること

前述の通り、別居していた場合でも収入が一定未満(前年の収入が850万円未満、もしくは所得が655万5千円未満)であり、死亡者による仕送りで経済的な援助を受けていたり、健康保険の扶養親族であるなどの条件が合えば生計を維持されていたことが認められます。

国民年金法第37条の2第1項の規定において、亡くなられた方と配偶者、または子の関係を「生計維持関係」といい、生計維持関係が認められた配偶者と子のことは「生計維持認定対象者」といいます。

 

「生計を維持されていた」とは?

生計を維持されていた配偶者と子の要件も知っておきましょう

 

遺族基礎年金の額と計算方法

 

令和2年(2020年)4月からの遺族基礎年金の年金額は、基本額781,700円+子の加算額となります。

子の加算額は、第1子および第2子が各224,900円、第3子以降は1人につき各75,000円です。

 

配偶者が受給する遺族基礎年金の額

子の人数 基本額 加算額 合計
子が1人の場合 781,700円 224,900円 1,006,600円
子が2人の場合 781,700円 449,800円 1,231,500円
子が3人の場合 781,700円 524,800円 1,306,500円

子の人数が4人以上の場合は、3人の場合の合計金額1,306,500円に、さらに1人につき75,000円を加算した額になります。

 

子が受給する遺族基礎年金の額

子の人数 基本額 加算額 合計 1人の受給額
子が1人の場合 781,700円 0円 781,700円 781,700円
子が2人の場合 781,700円 224,900円 1,006,600円 503,300円
子が3人の場合 781,700円 299,900円 1,081,600円 360,500円

子の人数が4人以上の場合は、3人の場合の合計金額1,306,500円に、さらに1人につき75,000円を加算した額になります。

 

子が受給する遺族基礎年金の額は、子が1人の場合は基本額781,700円、2人以上の場合は基本額781,700円に2人目以降の人数に応じた加算額を加えて計算し、その合計を子の人数で割ったものが1人分の受給額となります。

また、妻が遺族基礎年金の受給権を取得した当時、胎児であった子が生まれたときは、年金額が増額されます。

遺族基礎年金額が増えるのは、胎児が生まれたときのみです。

年金額の改定は、胎児が生まれた日の属する月の翌月から行われます。

 

遺族基礎年金の年額と計算方法

遺族基礎年金の年金額は781,700円+子の加算額

 

遺族厚生年金を受け取る要件と対象者

 

厚生年金に加入中の被保険者、または老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある方が亡くなったときに、一定の条件を満たす遺族が遺族基礎年金とあわせて受け取れる遺族年金が「遺族厚生年金(いぞくこうせいねんきん)」です。

遺族厚生年金の受給要件
  • 厚生年金に加入中の被保険者が亡くなったとき
  • 厚生年金の被保険者期間中の病気やケガ原因で、初診日から5年以内に死亡したとき

原則:国民年金の保険料納付済期間(免除期間を含む)、厚生年金の被保険者期間、共済組合の組合員期間の合計が3分の2以上あること

特例:令和8年(2026年)3月31日までの間に死亡された場合、亡くなった方が65歳未満であれば、死亡月から前々月までの1年間に納付しなければならない保険料の未納・滞納がなければ遺族基礎年金を受けることができます。

  • 老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある方が亡くなったとき
  • 1級・2級の障害厚生年金を受けられる方(受給権者)が亡くなったとき

亡くなったときに障害厚生年金の受給権者がなくても、遡って障害年金の受給が認められるケースがありますので、亡くなった方に障害があった場合は年金事務所に確認しましょう。

 

遺族基礎年金と比較して、受給対象者の範囲が広いのが遺族厚生年金で、大きな違いは子がいない妻も受給できるという点です。

ただし、遺族厚生年金の受給対象者には優先順位があり、順位の高い方が受給できる場合にはそれより下位となる遺族に対して受給権は発生しませんので注意しましょう。

遺族厚生年金の受給資格を持つ対象者

死亡した方によって生計を維持されていた、妻

  • 子のない30歳未満の妻は、5年間の有期給付となります
  • 受給対象の要件に当てはまる子がいる妻と子は、遺族基礎年金と併せて受給することができます

死亡した方によって生計を維持されていた、子・孫

  • 18歳になった年度の末日(3月31日)を経過していない子
  • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
  • 婚姻していない子

※遺族基礎年金の受給対象となる子の要件と同様です

死亡した方によって生計を維持されていた、55歳以上の夫・父母・祖父母

  • 受給開始はいずれも60歳から
  • 夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も併せて受給することができます

 

遺族厚生年金の受給順位は次の通りとなり、優先順位の高い方に支給されます。

遺族厚生年金が受給できる方の優先順位(転給はありません)
第1順位者・・・子のある妻、子のある55歳以上の夫、子(同一順位です)
第2順位者・・・子のない妻
第3順位者・・・子のない55歳以上の夫
第4順位者・・・55歳以上の父母
第5順位者・・・孫
第6順位者・・・55歳以上の祖父母

 

遺族基礎年金と違って遺族厚生年金の受給対象者には優先順位があり、受給要件や年齢制限も煩雑ですので、受け取れるかどうか不安な方は社会保険労務士や弁護士などの専門家に問い合わせてみることをおすすめいたします。

 

遺族厚生年金を受け取るための要件と対象者

受給要件や優先順位を専門家に確認するのも一つの方法です

 

遺族厚生年金の額と計算方法

 

遺族厚生年金と年金額がいくらもらえるかは、亡くなられた方の収入(給与・賞与などの報酬)や被保険者期間に納付した厚生年金保険料などの実績に応じて算出されます。

計算方法は2通りありますが、定額の遺族基礎年金よりも複雑な計算式となっていますので、くわしくは、日本年金機構のホームページでご確認ください。

また、「妻」には中高齢寡婦加算(ちゅうこうれいかふかさん)が加算される場合があります。

中高齢寡婦加算とは、夫に先立たれて遺族となった40歳以上の「妻」が一定の条件に該当する場合、65歳になるまでの間、遺族厚生年金に年586,300円(2020年4月~)が加算される有期年金のことです。

 

遺族厚生年金の額と計算方法

 

遺族基礎・遺族厚生年金の請求方法

 

遺族基礎年金や遺族厚生年金を受けるためには、所定の窓口へ請求書と必要書類を提出する年金の請求手続きが必要です。

必要事項を記入した「年金請求書」と必要書類を揃えて、市役所や区役所、町村役場や年金事務所に提出しましょう。

 

年金の時効に要注意!

遺族年金を受ける権利は、受給権が発生してから5年の時効を経過してしまうと、受け取る権利そのものが消滅してしまいます。(国民年金法第102条第1項・厚生年金保険法第92条第1項)

遺族年金に限らず、どのような年金でも自ら請求しないと給付されませんので、往々にして生じやすい年金のもらい忘れ(請求漏れ)にはくれぐれも注意してください。

 

年金の時効に要注意!

遺族年金は5年を過ぎると受け取ることができません!

 

遺族基礎・遺族厚生年金の請求に提出する書類

年金請求書

遺族基礎年金を請求する場合は「年金請求書(国民年金遺族基礎年金/様式第108号)」、遺族基礎年金と遺族厚生年金を請求する場合は「年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付/様式第105号)」を用意します。

 

国民年金遺族基礎年金(様式第108号)

年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付/様式第105号)

 

国民年金・厚生年金保険遺族給付(様式第105号)

年金請求書(国民年金遺族基礎年金/様式第108号)

 

これらの年金請求書は、市区町村役場やお近くの年金事務所、年金相談センターの窓口で入手することができます。

遺族年金の請求手続きには、「年金請求書」以外に年金手帳や戸籍謄本、住民票の写しなど用意しなければならない添付書類がありますので、あわせて確認しておきましょう。

 

年金手帳

基礎年金番号を確認するために必要です。

  • 請求者本人の年金手帳、年金証書、または基礎年金番号通知書
  • 亡くなった方の年金手帳、年金証書、または基礎年金番号通知書

 

遺族年金の請求に必ず提出する書類

 

戸籍謄本

亡くなった方と年金を請求する方の身分関係、もしくは親子関係を明らかにするために必要となります。

必ず、死亡された日以降のものをいずれか1部用意しましょう。

  • 戸籍の謄本(戸籍の全部事項証明書)
  • 戸籍の抄本(戸籍の個人事項証明書)
  • 戸籍の記載事項証明書(戸籍の一部事項証明書)

 

住民票

生計維持関係を確認するために必要な書類です。

  • 住民票の写し(世帯全員、本籍地、続柄記載)
  • 住民票の除票(世帯全員の住民票で亡くなった方が確認できない場合に必要)

 

死亡診断書

死亡の事実や原因、死亡年月日を確認するために市区町村長に提出したいずれかの書類が必要です。

  • 死亡診断書、または死体検案書のコピー
  • 死亡届の写し(死亡届の記載事項証明書)

 

預金通帳・貯金通帳・キャッシュカード

遺族年金の振込先を確認するために必要な書類で、請求者名義のいずれかを用意します。

なお、年金請求書に金融機関の証明を受けた場合は不要です。

  • 預金通帳
  • 貯金通帳
  • キャッシュカード

 

生計維持関係の書類
  • 生計同一関係に関する申立書
  • 事実婚関係に関する申立書
  • 収入に関する認定書類

 

第三者証明に代わる書類
  • 健康保険被保険者証または組合員証など(健康保険等の被扶養者の場合 ※国民健康保険以外)
  • 給与簿または賃金台帳など(給与計算上、扶養手当等の対象になっている場合)
  • 源泉徴収票または課税(非課税)証明書など(税法上の扶養家族になっている場合)
  • 定期的に送金されていたことがわかる現金封筒、または預貯金通帳など(※定期的な送金があった場合)

 

亡くなられた原因が第三者行為による場合に必要な書類
  • 第三者行為事故状況届
  • 交通事故証明、または事故が確認できる書類(事故内容がわかる新聞の写しなど)
  • 損害賠償金の算定書(すでに決定済みの場合は、示談書や自賠責保険等支払書など受領額がわかるもの)
  • 確認書(所定の様式があります)
  • 被害者に被扶養者がいる場合、扶養していたことがわかる書類(源泉徴収票、健康保険証の写し、学生証の写しなど)

 

その他、状況に応じて必要な書類
  • 身分証明書(窓口で請求手続きを行う方の身分がわかる書類。運転免許証、パスポートなど)
  • 委任状(第三者に委任する場合。請求者本人が署名押印してあること)
  • 印鑑(認印可。請求者本人が自署の場合は不要)
  • 年金受給選択申出書(他の年金を受け取っている場合)
  • 年金裁定請求の遅延に関する申立書(受給権発生日の翌日から5年経過した場合に提出)
  • 合算対象期間が確認できる書類
  • 年金証書(他の公的年金から年金を受けている場合)

必要書類の内容については、死亡原因や子の有無など状況によって異なりますので、事前に年金事務所や年金相談センターなどで確認しておきましょう。

 

遺族基礎・遺族厚生年金の請求と問合せ窓口

年金請求書と必要書類はすみやかに用意しましょう

 

請求先

年金を請求する窓口は、亡くなられた方が死亡日に加入していた国民年金における被保険者の区分によって異なります。

  • 第1号被保険者・・・住所地の市役所、区役所、町村役場
  • 第2号被保険者・・・年金事務所、または年金相談センター
  • 第3号被保険者・・・年金事務所、または年金相談センター

 

年金相談・年金に関する一般的な問い合わせ電話窓口
ねんきんダイヤル
0570-05-1165(ナビダイヤル)
03-6700-1165(一般電話)

 

遺族年金の受給権が消滅すると支給が停止されます

 

遺族年金の支給を受けていた遺族自身が亡くなったり、結婚や養子縁組をするなどの理由で、遺族基礎年金や遺族厚生年金を受け取る権利がなくなります。

このように、遺族年金を受給している人が受給権を失うことを「失権」といいます。

受給権が消滅する要件については、亡くなった被保険者と受給者の関係によって異なります。

受給権者に共通する失権(受給権の消滅)の要件
  • 死亡したとき
  • 婚姻したとき(事実上の婚姻関係を含む。結婚後に離婚しても、一度失権しているので、受給権者にはなりません。)
  • 離縁によって亡くなった方との親族関係が終了したとき
  • 直系血族、または直系姻族以外の方の養子となったとき(事実上の養子縁組を含む)
子・孫に共通する失権(受給権の消滅)の要件
  • 18歳になった年度の3月31日に達したとき(障害等級1級・2級の障害状態にあるときは20歳になったとき)
  • 18歳になった年度の3月31日後、20歳未満で障害等級1級・2級の障害状態に該当しなくなったとき
父母・孫・祖父母に共通する失権(受給権の消滅)の要件
  • 亡くなった方の死亡当時、胎児であった子が生まれたとき
妻が失権(受給権の消滅)する要件
  • 夫が亡くなったときに30歳未満の「子のない妻」が、遺族厚生年金を受け取る権利を取得してから5年を経過したとき
  • 遺族基礎年金・遺族厚生年金を受け取っていた妻が、30歳に到達する前に遺族基礎年金を受け取る権利がなくなり、その権利が消滅してから5年を経過したとき

※平成19年4月1日以降に夫が亡くなり、遺族厚生年金を受け取ることになった場合に限ります。

 

最後に

 

「もし一家の大黒柱が死んでしまったら・・・」という万が一を想定し、その後の年金額まで試算しているという方はあまりいません。

遺族年金を受け取った遺族の中にも、受け取れる年金の額が思っていたより少なかったという方もいれば、考えていたより手厚い支給がされたという方もおられます。

制度が煩雑なだけに、自分や家族が遺族基礎年金や遺族厚生年金を受給する資格があるかどうかわからないという方も多いでしょう。

しかし、面倒だからと請求申請をしないでいると、たとえ受け取ることができる要件を満たしていても1円も支給されないのが遺族年金です。

時効5年という請求期限もありますので、不測の事態が起きたとき、経済的な助けとなる遺族年金の請求手続きがすみやかに進められるよう、最新の法令と給付に関するルールなどを知っておくことは大切です。

また、亡くなられた方や家族の状況や年齢によって受給期間や内容も異なりますし、物価や賃金などの変動に応じて毎年行われる見直しによって、年金額が変わることもあります。

早いうちに遺族年金の仕組みや制度についてしっかり理解しておき、貯蓄や保険などの生活保障とあわせて、万が一に備えておきましょう。

 

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