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遺言でできることとは? 遺言の書き方や効力を知って作成しましょう

目次

 

遺言を残す方も受け取る方も知っておきたいこと

 

高齢化と少子化が進む現代の日本では、相続と遺言への関心がとても高まっています。

昔に比べて元気な高齢者が増えているという印象は強くありますが、持病を抱えている方もいれば、身体は健康でも認知症を発症する可能性がありますので、一定の年齢に達したときに何があってもおかしくないという状況は変わりません。

これはシニア層に限ったことではなく、若い方でも急な病気の発症や予期せぬ事故に巻き込まれることも考えられるため、思いがけず「死」と向き合う可能性というのは十分にあります。

自分が思うように動けなくなったり、さまざまな要因で判断能力が低下してしまう前に、財産の分与などに関する遺志を伝えるための法的な文書「遺言」や、延命処置の内容や葬儀の希望など家族に伝えたいメッセージを書き記す「エンディングノート」に自分の死後のことについて書き残しておくことはとても重要なことと言えるでしょう。

 

亡くなられた方の遺言がない場合、原則として亡くなった方の法定相続人が財産相続に関する協議を行います(遺産分割協議)。

この協議が整えば遺産分割が行われることになりますが、ここで最も大変なのは相続人全員の同意が必要であるということです。

ひとりでも不同意な人がいた場合、遺産を巡って相続人同士や親族間で争いが起こるというケースは珍しいことではありません。

遺言を残すメリットは、自分が残す財産を親族にどう扱ってもらうか決めておくことによって、自分の死後、相続人たちが遺産をめぐって争うことを防ぐことができることです。

親族全員を平穏に導くための保険となる遺言を残すということは、先に去る者の責任とも言えるでしょう。

こちらでは、財産の相続手続きに向けた遺言の遺し方や、その遺言の効力についてご紹介していきます。

 

 

遺言でできること

 

被相続人(故人)が遺言を残していた場合、相続手続きは原則として遺言の内容に従って行うことになります。

被相続人は、遺言によって法定相続分とは違う割合で相続をさせたり、遺贈という形式で相続人以外の人に財産を残すことができるだけでなく、遺言の内容を実現させる「遺言執行者(いごんしっこうしゃ)」を指定することもできます。

法律に定められたルールに基づき、遺言でできる代表的な7つのことをこちらで確認しておきましょう。

 

「遺言」でできる代表的な7つのこと

1、認知(民法781条2項)

2、廃除・廃除の取消し(民法893条・894条2項)

3、祭祀財産の承継者の指定(民法897条1項)

4、相続分の指定・指定の委託(民法902条)

5、遺産分割方法の指定・指定の委託(民法908条)

6、遺贈(民法964条)

7、遺言執行者の指定・指定の委託(民法1006条)

 

遺言でできること

 

遺言の種類とそれぞれのメリット・デメリット

 

法律上の効果が認められる遺言の代表的な3つの形式「自筆証明遺言」「公正証書遺言」「秘密証書遺言」のほかに、特別方式遺言と呼ばれる「一般危急時遺言」などいくつかの種類があります。

それぞれの遺言において、法律で定められた要件を満たしていないと具体的な相続手続きができませんので、特性や様式を知っておく必要があります。

「公正証書遺言」以外の遺言の場合には、相続開始後、家庭裁判所において検認という手続きをしなければいけませんので、相続人になる人も遺言の特徴を知っておくことは大切です。

 

公的な文書である遺言を残すことは、相続に備えて生前にできる対策としてもっとも一般的な方法です。

しかし、民法上の規定に沿った遺言の作成形式が守られていなければ「無効」となってしまうことがありますので、遺言の目的や効力を損なうことなく財産を引き継ぐ準備をしなければなりません。

代表的な3つの遺言の形式と、それぞれのメリットやデメリットといった特徴をくわしく確認しておきましょう。

自筆証書遺言
自筆証書遺言の特徴は、「自分で書ける」という点です。
遺言者が、遺書の内容の全文と日付、氏名を自書して作成することができます。
公証人の関与も不要のため、費用をかけないでいつでも気軽に作成することができ、書き直しも容易というメリットがあります。
しかし、手軽な反面、自分自身で書いていきますので様式や内容に不備が生じる可能性があり、遺言が無効になってしまう恐れがあります。
また、自筆証書は全文自書が要件となりますので、病気やケガなどの理由で文字が書けないという方は、自筆証書遺言を作成することができません。
保管についても遺言者(被相続人)自身が行いますので、偽造や変造、破棄されてしまう可能性や、盗難や火事などで消失してしまう危険性なども考えられますので、管理は難しいといえます。
相続開始後には、自筆証書遺言を発見した者が家庭裁判所に持参し、相続人全員に呼出状を発送した上で、その遺言を検認するための検認手続を行う必要があります。
公正証書遺言
公正証書遺言は、証人2名以上が立合いのもと、公証役場にいる公証人が関与して作成します。
公証人という法律の専門家が作成しますので、形式の不備などで遺言が無効になるおそれがなく確実性があります。
自筆証書遺言とは異なり、手が不自由で文字が書けないという方も利用することができます。
足が悪くて外出できないといった場合にも、自宅や病院まで出張してもらい作成できるといったメリットがあります。
公証人との打ち合わせや手数料はかかりますが、検認手続きも不要であるため相続人に手間をかけることはありません。
また、原本は公証役場で保管されますので、紛失や破棄、偽造や変造などの恐れがないことから、生前の対策としてはもっとも有効なものといえます。
秘密証書遺言
秘密証書遺言の特徴は、内容を秘密にしたまま遺言の存在のみを証明してもらうという点です。
遺言者が自分自身で作成を行い、署名押印した書面を封印し、公証人と証人2名以上にその封書が自分の遺言書である旨を申述する必要があります。
公証人に遺言の「存在」を証明してもらうことができますので、自筆証書遺言の場合に起こり得る「遺言が本物か?」といった遺族間での問題や争いが起きないというメリットがあります。
また、公正証書遺言のように遺言の内容を他人に知られてしまうということもありません。
しかし、自筆証書遺言と同様に、遺言者が自分自身で作成しますので、様式や内容に不備が生じる可能性はあり、効力が無効になってしまう恐れがあります。
秘密証書遺言を発見した人は、家庭裁判所にて遺言書の検認手続きも必要となります。

 

一般には自分で手軽に作成できる「自筆証書遺言」が普及していますが、財産が大きい場合や確実に遺言を実施させたい場合は「公正証書遺言」が使用されることが多いです。

 

遺言の種類とそれぞれのメリット・デメリット

 

遺言に関するよくある疑問

 

Q1.自分が死んだら、遺言は誰が実現してくれますか?

遺言の中で遺言執行者を指定することができます。

指定された遺言執行者は、相続財産の管理とそのほか遺言の執行に必要な一切の権利義務を有します。

遺言を残す方にとって、遺言に残した自らの意思を実現してもらう重要な存在です。

 

Q2.遺言は書き直せますか?

遺言を作成した後に状況や気持ちが変わることは十分考えられますので、いつでも撤回することができます。

遺言を撤回する方法は、「新たに遺言を作成するという方法」で行います。

公正証書遺言以外であれば、遺言を故意に破棄することによって撤回することも可能です。

 

Q3.遺言で指定した相続人が先に亡くなった場合はどうすればいいですか?

遺言で相続人を指定することができますが、該当者が遺言を作成した方よりも先に亡くなってしまった場合、原則としてその部分は失効することになります。

このようなケースに備えて、「Aさんが遺言者の死亡以前に死亡した場合は、Bさんに相続させる」といった予備的な内容を含めた遺言を作成しておくと有効でしょう。

 

「エンディングノート」と「遺言」の違い

 

「エンディングノート」と「遺言」における最大の違いは、エンディングノートには法的な効力がないことです。

エンディングノートとは、自分が認知症や重大な病気になってしまった場合や亡くなったときなど、万が一の場合に備えて、自分のことや財産のことなどをまとめるノートです。

法的な効力はありませんが、自分の意志を伝えることができなくなった時に「思いを伝える」ことができる役割を果たすだけでなく、親族やお世話になった方々に伝えておきたいことをメッセージとして自由に残すことができます。

遺言も付言事項としてメッセージや思いを伝えることができますので、エンディングノートは必ず残さなければいけないということはありません。

しかし、老後の生活や葬儀の規模などに関する希望や、遺品整理に備えて財産目録や保管場所などを書き記しておくことは遺族の負担軽減にも繋がるでしょう。

最近では、高齢者を中心に将来を見据えて生前整理や終活をポジティブに取り入れる方が増えています。

書店でもエンディングノートセットなどが販売されており、手軽に入手できるようになっていますので利用してみるのもおすすめです。

 

「エンディングノート」と「遺言書」の違い 05

 

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