戸籍から相続人と正確な相続関係を確認する方法
- 2017/09/13
- お役立ち情報
2020年12月22日更新
目次
戸籍謄本などで正確な相続人を特定しましょう
相続の手続きや届出をするときには、戸籍によって証明される正確な相続関係を把握する必要があるため、戸籍謄本などの書類提出を求められる場面が多くあります。
ここでは、相続関係を証明するために必要となる戸籍謄本のことや戸籍収集のポイントなどについてくわしくご紹介していきます。
相続関係の証明は出生まで遡ります
相続の手続きで欠かすことができない戸籍謄本(戸籍全部事項証明書)は、財産を相続する権利が誰にあるのかということ(相続関係)を証明するための重要な資料となります。
戸籍謄本(除籍謄本・改製原戸籍謄本)には、故人(被相続人)の死亡の事実や死亡日などの記載以外にも、いつ誰と誰の間に生まれ何人の兄弟姉妹がいるのかということや、誰と結婚して子供が何人いるのかなど相続に関連する続柄や相続人の人数などがすべて記録されているので、正確な相続関係を証明するためにも亡くなった方の出生まで遡ることができる一生でつくられた戸籍をすべて用意する必要があります。
出生から死亡まで戸籍を遡るときのポイント
亡くなられた方(被相続人)の出生から死亡に至るまですべての戸籍を遡るときポイントは、戸籍謄本がつくられた日や戸籍謄本に載せられた日を正確に知ること、そして、それ以前に生存情報が記載されていた戸籍がないかを丹念に確認することです。
戸籍というのは、戸籍法の改正や転籍、婚姻によってその都度新しくつくられますが、その際に抹消された情報は基本的に新しい戸籍に記載されません。
戸籍情報が途中で途切れてしまうと正確な相続人や相続関係を特定することができなくなる可能性がありますので、まずは亡くなられた方(被相続人)の最後の戸籍を取得し、そこから順番に遡って戸籍を読み解いて出生までの戸籍を揃えましょう。
市区町村役場で請求するのであれば、窓口で「この役所で取得できる相続手続きに必要な戸籍謄本などをすべて請求したい」と伝えるとスムーズです。
一ヵ所ですべての戸籍を証明する書面が揃わない場合は、次にどこで交付請求をすればいいか尋ねると詳しく教えてもらうことができます。
遺書がある場合
正式な遺書がある場合は、亡くなった方(被相続人)の死亡事項が記載されている戸籍謄本(除籍謄本)と、相続人あるいは受遺者(じゅいしゃ)であることの証明だけで足りる場合もあります。
遺言があることにより、ほかに相続人がいないということまで戸籍で証明する必要がなくなるからです。
ただし、遺言書の検認などを行う場合には、やはり亡くなった方の死亡から出生まで遡った戸籍が必要になります。
受遺者とは・・・遺言の指定によって遺産の贈与(遺贈)を受ける方 |
戸籍謄本を交付請求する3つの方法
戸籍謄本の交付請求は3つの方法があります。
- 本籍地がある市区町村役場の窓口で交付請求する方法
- 本籍地がある市区町村役場に郵送で交付請求する方法
- コンビニエンスストアで交付請求する方法(コンビニ交付)
本籍地がある市区町村役場の窓口で交付請求する方法
戸籍謄本などの請求は、亡くなった方の本籍地がある(もしくは、あった)市区町村役場の窓口に直接出向いて申請手続きをすることができます。
前もって交付請求をする際に必要な必要書類や手数料、印鑑などを確認しておき、書類不備がないよう揃えて持参するようにしましょう。
市区町村役場の窓口で交付請求するときに必要なもの |
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郵送で交付請求する方法
戸籍を辿っていくと、場合によっては遠方の市区町村役場に対して戸籍謄本などの交付請求をしなければならないことがあります。
さまざまな事情によって、市区町村役場の窓口まで直接出向くことが難しいという場合には、郵送での交付請求・取り寄せることも可能です。
郵送請求する本籍地の市区町村役場の所在地をホームページなどで確認し、交付申請書や手数料などの必要書類を同封して送付しましょう。
郵送で交付請求するときに必要なもの |
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複数枚の証明書を請求する場合、手数料(定額小為替)に不足があると取得できるまでに時間がかかってしまいますので、あらかじめ正確な金額を確認しておくか、もしくは多めの金額を同封しておくと安心です。
交付枚数が多いのであれば、前もって大きいサイズの返信用封筒と多めの返信用切手を同封しておくとスムーズでしょう。
コンビニエンスストアで交付請求(コンビニ交付)する場合
マイナンバーカード(個人番号カード)や住民基本台帳カードをお持ちの方は、全国のコンビニエンスストアなどに設置されているキオスク端末(マルチコピー機)から戸籍謄本などを取得できる「コンビニ交付サービス」を利用することができます。
コンビニ交付のメリットは大きく2つあります。
一つ目は、市区町村役場が閉庁している土日祝日、早朝や深夜にも戸籍謄本などを取得することが可能であること、そして二つ目は自分でマルチコピー機を操作して証明書を発行するため、窓口や郵送での手続きに必須の交付請求書を記入する必要がないという点です。
ただし、戸籍謄本などを交付してもらう本籍地の市区町村役場がコンビニ交付に対応していなければ利用ができませんので、あらかじめ確認しておきましょう。
コンビニ交付サービスで交付請求するときに必要なもの |
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戸籍謄本を交付請求できる方
本籍地の市区町村役場の窓口や郵送にて、亡くなられた方の戸籍謄本を交付請求できる方は、個人情報保護の観点から法律で故人の配偶者や直系尊属(父・母・祖父・祖母など)、直系卑属(子・孫など)に限られています。
直系尊属(ちょっけいそんぞく)とは |
父母や祖父母など、自分より前の世代で直通する系統の親族のことです。 これには養父母も含まれますが、叔父や叔母、配偶者の父母や祖父母は含まれません。 |
直系卑属(ちょっけいひぞく)とは |
子や孫など、自分より後の世代で直通する系統の親族のことです。 これには養子も含まれますが、兄弟姉妹や甥・姪、子の配偶者は含まれません。 |
何らかの事情により、故人の直系血族や配偶者が戸籍謄本の交付を申請できないという場合には代理人に委任することも可能ですが、その場合には取得する理由を明らかにする委任状や代理人となる方の本人確認書類を添付する必要があります。
戸籍がつながらない場合の対策
戦災による消失や保存期間の経過による廃棄などで、古い除籍謄本や改製原戸籍謄本が取得できないことがあります。
そうすると、相続関係を特定するために添付する戸籍謄本(証明)が一部不足することになります。
このような場合は、追加で何らかの書類の提出を求められる可能性がありますので、それぞれの相続手続きを行う先に対応方法を確認しましょう。
想定していない相続人が見つかった場合
戸籍を調査した結果、想定外の法定相続人が見つかるということもあります。
しかし想定外とはいえ、その法定相続人を除いて相続手続きを進めることはできません。
全く面識のない相手であったとしても、手紙を送ったり、直接会いに行ったりするなどして状況を説明し、遺産分割協議に参加してもらうなど協力してもらう必要があります。
遺言の有無などによって対処の方法も変わりますが、場合によっては、弁護士などの専門家に依頼する必要が出てくるかもしれません。
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