お墓の改葬とは?手続きの方法とよくあるトラブル
- 2019/05/01
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お墓の改葬とは?手続きの方法とよくあるトラブル
目次
改葬は「いつ」「どんな時」に必要?
お墓の「改葬(かいそう)」とは、すでに埋葬されているご遺骨をお墓から別の新たな場所(外墓や納骨壇など)へ移すことです。
故郷から遠く離れて生活しているなど、何らかの事情で今あるお墓を別の場所に移すことが必要になることがあります。
また、距離の問題だけでなく、核家族化や少子化、都市部への人口集中などの社会背景も要因となって「改葬」を考える方も増えてきているようです。
中には、誰のお墓かわからない無縁墓(むえんぼとけ)も増加しており、その問題は深刻化しています。
そういったお墓の心配や悩みを解決するための方法のひとつに、お墓の引っ越しと言われる改葬があります。
また、「改葬」とあわせて「墓じまい」という言葉も耳にすることが多いかと思います。
この「改葬」と「墓じまい」はとても似ていますが、墓じまいとは「今あるお墓を閉める、または無くすこと」を指します。
改葬の手続きには「改葬許可申請書」が必要
改葬を行う場合、新旧の墓地管理者との交渉や手続きだけでなく、市区町村役場での手続きも必要です。
改葬をする場合の主な手順
① 古いお墓から遺骨を取り出す。
② そのお墓を更地にしてお墓を移動する。
③ 新しいお墓の使用権を得る。
④ 遺骨を新しいお墓に入れる。
上記4段階の手順で改葬を行うにあたり、行政によってまざまな許可や書類が必要になってきます。
改葬をするために必要な手続と書類
①「受入証明書(使用許可証)」の交付
改葬をしたい場合は、まず新しい墓地を用意し、新しい墓地の管理者から「受入証明書」を交付してもらいます。
②「改葬許可申請書」の準備
次に、現在のお墓がある市区町村役場で「改葬許可申請書」を受け取りましょう。
その上で、現在のお墓の管理者から理解を得て、「埋蔵証明書」に記名押印をもらいます。
「埋蔵証明書」は「改葬許可申請書」と一体になっている様式の用紙もございます。
また、場合によっては①の交付前に②の手続きを行うこともあります。
「改葬許可申請書」は、ひとつの遺骨に対して1枚必要です。
③「改葬許可書」の交付
「埋蔵証明書」に記名押印をもらったら「改葬許可申請書」を現在の墓地のある市区町村役場に提出し、「改葬許可書」を交付してもらいましょう。
④現在の墓地から遺骨上げ
現在の墓地の管理者に「改葬許可書」提示し、石材店に遺骨を取り出してもらい、僧侶に「閉眼法要」と呼ばれる供養をしてもらうのが一般的です。
「閉眼法要」とは、「お魂抜き」や「性根抜き」とも呼ばれ、墓地に宿った魂を抜きとる供養です。
閉眼法要を行った後の墓石は、普通の石に戻るといわれており、閉眼法要後にお墓から遺骨を取り出し、墓石を撤去して土地を更地に戻します。
「閉眼法要」を行う場合は、石材店と僧侶の手配を前もってしておくことを忘れないようにしましょう。
⑤「改葬許可書」の提出
「改葬許可書」を新しい墓地の管理者に提出すれば、手続きは完了です。
新しい墓地へ納骨を行いましょう。
納骨をする際は、「閉眼法要」とは反対の「開眼法要」と呼ばれる墓地に魂を入れる供養を行います。
改葬でトラブルが起きないように気をつけたいこと
改葬する際には、市区町村役場での手続きだけではなく、新旧のお墓の管理者や親族との調整が必要です。
亡くなった方のためにも、これらの手続きは円滑に手続きを進めたいものです。
しかしながら、現在の墓地の管理者が改葬を反対するトラブルもあるようです。
長年お墓を管理してきたご住職としては、前触れや相談もなく、突然改葬の申し入れがあると驚かれることでしょう。
「檀家が減ってしまうと経済的な事情で困る」ということもトラブルに発展する理由のひとつとして考えられます。
トラブルがこじれると、お墓の管理者から離壇料や寄付金などの名目で納得できない高額な金銭を請求されるといったケースや、ひどい場合には、改葬に必要な書類を発行してもらえないケースもあるようです。
万が一、お墓の管理者から理解を得ることができず、予期せぬトラブルに巻き込まれてしまった場合には、弁護士や市区町村役場の消費生活センターなど相談窓口に相談し、話し合いを進めましょう。
こういったトラブルを未然に防ぐためにも、現在のお墓の管理者には事前にご挨拶に出向き、誠意を持って改葬する考えに至った理由などを説明した上でご理解をいただき、これまでの感謝の意を伝えることが大切です。
先祖代々のお墓を改葬するということは親族全体の問題でもありますよね。
改葬にあたっては、親族から賛成を得られないなど意見の相違によって起こり得る親族間でのトラブルもあるようです。
ここでも、お墓の管理者との相談と同様、丁寧に話し合いをしていくことが大切です。
法律上では、墓地の使用権者の判断で改葬を行うことができ、親族の同意を得る必要はないとされていますが、親族間でのトラブルを抱えたまま改葬を行なうといったことは避けたいと思いませんか?
やはり、これまで大切にされてきたお墓に対する想いというのは親族の方それぞれにありますので、事後承諾ではなく、早い段階で相談して親族全員が納得できるまで話し合い、その上で最善の方法を見つけることが大切です。
ご先祖様の望まない親族同士のトラブルは避けて、円満な改葬を行いましょう。